Think A.R.T.

コラム

2014.01.21

グローバル人材育成について考える

  昨今、日本企業の国際化や海外進出の発展にともない、世界で活躍できるグローバル人材の育成が強く求められていますが、一方で若い世代の「内向き志向」が強まっていると言われ、留学に対する意識の低下が進んでいるようです。そんな中、国を挙げた支援が盛んに行われていることは最近の動向からうかがえます。特に10月29日、文部科学省がグローバル時代に活躍できる人材育成のための、留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を開始したことは大きくニュースでも取り上げられていました。今後、イベントやWebを通じて広く留学の魅力を伝え、具体的な留学の方法を提供し、ターゲットイヤーである東京オリンピックが開催される2020年までに、大学生の海外留学12万人(現在約6万人)、高校生の海外留学6万人(現在約3万人)を目指すようです。

  そこで、グローバルに活躍できる人材について考えてみました。求められる能力について、すぐさま連想されるのは語学(英語)が堪能であることだと思いますが、それだけではもちろん不十分です。では、他にどのような能力が求められているのか、以前弊社で【グローバル人材育成推進事業】に関する案件の中で、企業を対象としたアンケートを実施しましたので、一部弊社の養成講座とともに紹介をさせていただきます。
※あくまで弊社独自で行ったアンケート調査結果として参考程度にご覧ください。
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Q.グローバル人材に求められる能力とは?
A.自らの考えを明確かつ論理的に組み立て意見交換ができる
A.目標や理念を共有し、周りと協力しながらプロジェクトに貢献できる
A.問題を特定・分析し、解決案を導き出すことができる
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上記をまとめ求められる能力としては、
“高い語学力”の他に、“論理的思考力”と “課題発見・解決力”“コミュニケーション力”が求められているこが分かりました。どれも十分な力を養うには難しい能力だと思いますが、弊社が提供しています「グローバル人材育成支援」の講座では、段階的な育成を目指しています。

  先ず、第一のステップで人とコミュニケーションが取れ、論理的な思考力で物事を考えることができる社会人基礎力と異文化を理解する力を養成します。この社会人基礎力は今の大学生には十分に備わっていません。傾聴力や社会人としてのマナー含め非常に大事な能力で、グローバル人材としてのベースとなります。
  第一ステップでは個人ワークが基本ですが、次の第二ステップでは、グループワークを中心とします。グループ内での意見交換や課題発見を行うことにより、問題解決までのプロセスを学び、チームワーク力を養成します。ここで、集団での役割を理解し、より高いコミュニケーション能力を養成していきます。また、実際の企業へ出向き最前線で活躍している方へのインタビューから課題発見、解決までを行い、実践力も養成します。
  最後のステップでは、これまでに養った能力をもとに、英語によるプレゼンテーションまでを行えるように養成していきます。

  以上のような講座構成でグローバル人材を育成していますが、弊社の考えとしてはこれらを十分に身に付けさせるには、そもそものマインドも変えることがとても重要だと考えています。世界で活躍することへの意識やモチベーションを高め“スイッチ”が入れば自ら学び、身に付けていくのではと考えています。
  最近ではサッカー界で本田圭佑選手が小学校から抱いていた「セリエAで10番を付けて活躍する」夢を実現しました。本田選手は小学校の時点で“スイッチ”が入っていたのでしょう。常に高いモチベーションで夢を追い続け、多くの挫折も経験し、数々の厳しい状況を打破してきた結果だとも思います。失敗を恐れずどんどんチャレンジしていく精神も非常に大事だと思います。
  弊社としてはいかに早い段階で“スイッチ”を入れてあげられ、失敗も含め様々な経験の場を与え、グローバル人材に育てていくかがこれからの課題の一つであると考えています。

(文責:北川)

コラム

2014.01.08

小学校の英語教育について

新年あけましておめでとうございます。文教の山下です。
2014年最初の投稿となりますが、今回は小学校の英語教育について書いてみたいと思います。

平成23年度より、小学校において新学習指導要領が全面実施され、第5・第6学年で年間35単位時間の「外国語活動」が必修化されました。このような「英語教育の開始時期の見直し」は実は昭和61年から検討されていたようです。「外国語活動」が必修化されるまでの経緯は下図の通りです。

そして先月の12月13日、文部科学省は、初等中等教育段階からのグローバル化に対応した教育環境作りを進めるため、小中高等学校を通じた英語教育改革を計画的に進めるための「英語教育改革実施計画」を発表しました。教科ではない「外国語活動」として実施している英語の開始時期を第3・第4学年と前倒しし、第5・第6学年では英語を正式な「教科」に格上げし、中学校の英語授業を原則として英語で行うことなどが計画の内容です。
(詳細な制度設計は年明け以降、同省の有識者会議や中央教育審議会で検討。東京五輪が開かれる2020年度の全面実施を目指す予定とのこと。)

大きく変わっていく日本の英語教育ですが、実際に今、小学校で行われている「外国語活動」はどのような状況なのでしょうか。
私は教育大学出身で、大学時代の友人の多くは小学校の教諭として教壇に立っています。その友人達と話をする機会があったのでこれらを話題に挙げたところ、「教員側の手配や準備の苦労が多い」という意見が多く出ました。「外国語活動」の指導計画は担任等が作成しますが、実際教えるALT(外国語指導助手)の中にはほとんど日本語が話せない方が多く、打ち合わせや調整が非常に難しいということでした。
一方、児童の反応は好評のようです。正式な教科と違ってテスト等の成績評価が無いこと、ゲームなどを通して楽しみながら学べること、ALTの外国人の先生が来てくれるのが新鮮、という理由が多いようです。
 

13日に発表された「英語教育改革実施計画」では、「高度な英語指導力を有するALT等が単独で授業を実施可能に」する外部人材の活用促進活動や、「小学校学級担任英語指導力向上研修」などの小学校における指導体制強化も行われると記載されていますので、教員側の負担や不安は軽減されるのではと思います。
第5・6学年からは正式な教科となるため、成績評価にも関わってきますが、ここで苦手意識を持たずに英語が好きな児童が増えれば良いと感じます。中学校からは授業が英語で行われるということもあり、今後開発される教材や教科書がどのような小・中の架け橋になっていくか、非常に楽しみでもあり、期待をしています。

(文責:山下)

コラム

2013.12.26

企業で求められる課題解決力に繋がるのは、「人間力」VS「成績」

先日、弊社がお手伝いしている大学のワークショップで、非常に感動したことがありました。プレゼン直前まで、本当に完成するのかと、講師やスタッフ一同不安に思っていましたが、当日には、きちんと間に合わせることができました。教員の方々やスタッフ、ご協力いただいた企業の方々を感動させる出来栄えになりました。最後は数日徹夜をしたグループもあったようです。

期限を守り、相手の要求以上のものをカタチにするというのは、企業に入れば、当たり前のことですが、学生時代にこうした体験を積み重ねることが本当に重要だと思いました。それは、中学高校、そして大学と、基礎的な学びの中に培われるもののようにも思います。

プレゼンテーマは、企業の業務内容をヒアリングし、課題発見を行い、学生なりにその課題解決案を提示するというものです。社会経験が無い学生にとっては、ヒアリング力が弱いために、企業の課題を発見することが非常に難しい。さらに、学年縦断のグループで解決していくのは、学生たちにとって大きな壁があったようです。何度も挫折しながらも、最後はチームになれた喜びと企業の方々にプレゼンテーションし、中には企業で採用したいと言われた解決案もありました。

最近の学生は、無気力で社会に無関心だと言われますが、大人が本気で対峙すれば、学生も返してくるのだと痛感します。私たちは、しっかり向き合えているのか、大人も反省すべきところが大いにあります。

12月8日の『日本経済新聞』朝刊に、大手企業の選考基準の変化が掲載されていました。人物重視から成績も重視する傾向に変化してきているとのこと。弊社も大学入学前教育をお手伝いしていますが、基礎学力の重要性を痛感します。社会で求められる力の根底には、やはり基礎学力があるように思います。

しかし、課題解決力に必要な力とは本当は何なのでしょうか。判断力のベースになる基礎学力はもちろん必要です。学業の成績とともに、もっと必要な別の力もあるように思います。

再び、企業が採用で成績を重視するようになった背景は、本当はどこにあるのでしょうか。安易なセグメントの手段として使われないことを期待します。
大学も企業も、大人がしっかりと向き合っていくことが、若者にスイッチをいれるのではないかと思います。

(文責 武田)

コラム

2013.12.12

朝食とタイムパフォーマンス

 12月2日より、立命館大学で「100円朝食」というサービスがスタートしました。

 当大学のWEBサイトによると、約4割の学生が毎朝朝食を摂ってないとのアンケート結果と保護者から健康面での不安の声や要望があったこと、そして「朝食を摂る習慣をつける」ための実験においても成果が得られたことから、実施に至ったとのことです。2013年10月21日~11月1日では実験的に実施し、2014年4月から全面導入する予定だった当初のスケジュールから、実験期間の高評価を受け、2013年12月2日から京都・滋賀の両キャンパスで前倒しで導入することとなったようです(¹)。

 文部科学省では国民の朝食欠食傾向を危惧し、2006年度より「早寝早起き朝ごはん国民運動」が展開されています。また最新の年齢帯別朝食欠食率では、20から30歳までの欠食率が最も高い数値(下図参照)となっています。 

【年齢帯別朝食欠食率(%)】 


 出展:総務省『平成23年度社会生活基本調査』

 国家施策として朝食欠食率を下げる取り組みが行われながらも、年代別でみると結果が伴っていないところもあります。20~24歳の年齢帯が最も欠食率が高く、次いで25~29歳の欠食率が高くなっています。人生の段階別に捉えると、大学時代での「朝食を摂る習慣」が、社会人生活にいかに影響してくるかが見受けられます。
 そういったことから、この度立命館大学で実施された朝食サービスは大変意義のあるものだと考えられます。

 朝食を摂取する重要性は、社会人に対しても各メディアでしばしば取り上げられるテーマです。社会人として、タイムパフォーマンス(時間能率)は常に上質を保たなければいけません。そのため効率化を図る行動として「朝食<睡眠」といったことが多く見受けられますが、それはタイムパフォーマンスを逆に低下させる行為です。

  「脳は睡眠中も休むことなく働き続けていて、エネルギーの全てをブドウ糖に頼っています。その消費量は毎時5g。脳は、ブドウ糖を備蓄することができず、消費し続けます(²)。」

  睡眠中の消費エネルギーを朝食で補うことこそが、午前中の業務で高いタイムパフォーマンスを発揮することに繋がります。また朝食に限らず食事を抜いた時間を他に充てることも、結果的に非効率です。

 タニタのWEBサイトによると、脳の重さは体重に対して約 2%しかありませんが、脳は全身の活動に必要とするエネルギーの約20%を消費しています。脳に栄養を与えていない時間が長過ぎると、脳が疲労し、パフォーマンスが落ちることになってしまいます(²)。

 また、食事に割く時間がないのでお菓子を食べる人も少なくないと思います。ブドウ糖の素になる甘いお菓子を食べる人も多いのですが、ブドウ糖をエネルギーに変えるには、ビタミン B1を一緒に摂取する必要があります。お菓子だけだとほとんどビタミンが入っていないので、急激に血糖値が上がり、イライラしたり、疲れやすくなってしまいます。

 お腹を満たすのではなく、脳を活かす。
 効率UPではなく、脳(能)率UP。

 朝食を含め、食事を摂ることばかりに陥らず、どう摂るかに拘ることが重要で、それがタイムパフォーマンスを高く保つ秘訣だと私は考えます。

 【脚注】

1. 立命館大学2013.12.02付HEADLINENEWS

2. タニタの健康応援ネット「からだカルテ」
 

(文責:河野)

コラム

2013.12.03

大学教育におけるグローバル化・ICT化

みなさんこんにちは、文教ソリューション事業部営業の宮本です。

リメディアル関係に携わってきて9年目になりますが、現在の大学事情など、最近、私が感じているところをお伝えしたいと思います。私は、全国の大学を訪問させていただいています。そのなかで、今年は特に、大学現場のニーズが変化してきたことを痛感しています。


その要因として、24年度文科省の採択事業「グローバル人材育成推進事業」と、私立大学の「附属高校対策」が考えられます。

「グローバル人材育成推進事業」は、若い世代の「内向き志向」を克服し、国際的な産業競争力の向上や国と国の強化の基盤として、グローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図るべく、大学のグローバル化を目的とした体制整備を推進する事業に対して財政支援をするものです。

本事業は、平成24年度129大学から申請され、(国立17大学、公立4大学、私立21大学)が採択されました。平成25年度も引き続き「大学の世界展開力強化事業」採択11大学、「グローバル人材育成の基盤形成事業」など高校生向け留学「地の拠点整備事業」地域と人材育成などに補助金が出ます。

以前から、何らかの取り組みをされていた大学とそうでない大学では、対策でかなり差が出ることが予想されます。多くの大学では補助金がでたものの「何をすればよいのか」「どうやって結果を出せばよいのか」など試行錯誤されているのが現状です。

もうひとつの「附属高等学校対策」での課題としては、一部の大学の附属校推薦で入学してくる学生のモチベーションの低さ、学力低下などがあります。全入時代の今、附属校推薦で入学する学生の課題は、大学・高校の双方で大きな問題となっています。入学生のモチベーションUPのための高校時の施策の一つとして、教育のICT化があります。

近畿圏のある附属高校では、20134月から新1年生に対して「グローバル化する社会で求められる資質を備えた人材を育てる」をスローガンにiPadを全員に購入させ、授業で活用されています。学習スタイルも「授業で学び、自宅で復習」から「自宅で学び、授業で議論」の反転授業の取り組みへと転換。授業内容も変化し、理解できない生徒は先生の授業を聞き、理解できている生徒は演習などを自学自習していくというグループに分け、生徒の習熟度に合わせた教育が実践されています。


弊社でも、佐賀県武雄市教育委員会と連携し、タブレット端末を活用し、生徒に事前学習をさせたうえで学校で授業を行う「反転授業」の実践をお手伝いしています。教育現場へのICT(情報通信技術)導入が進んでいますが、政府は2019年度までに、全ての児童生徒に情報端末を配備する計画を打ち出しています。

グローバル化・ICT化は、今後の教育のキーワードであり、社会で求められる力でもあります。ツールやカタチにとらわれず、どのような教育を実践すべきか、どのような人材を育成すべきかを考えていくことが、重要だと考えます。